私は、ASOS(エイソス)を扱っていた時期がありますが、悪いことは言いません。
ASOS(エイソス)を取り扱うのは絶対にやめた方がいいです。
(ASOSだけではなく、Lipsy(リプシー)、River Island(リバーアイランド)、Chi Chi London(チチロンドン)といったプチプラブランドも取り扱いをやめた方がいいと思っています。以下、一括りにASOSとしますが、全て含んでいると思ってください)
その理由を一言で言うなら、「コストパフォーマンスが悪い」からなんですが、私の体験も交えて、ASOSに潜む麻薬的な危険性などをお伝えします。
もしかしたら、これから取り扱いを考えていたり、もしくはすでに何十件、何百件と販売をしているかもしれませんが、一度立ち止まって、この先を読み進めてください。
目次
ASOS(エイソス)は確かに売れる
ASOSは、BUYMAでよく売れています。
これは紛れもない事実です。
昨日のブランドランキング(レディースカテゴリ)で、FENDIとSaint Laurentの間に挟まれていて、だいたい20位くらいには食い込んできます。
ちなみに、メンズカテゴリでは4位、キッズカテゴリは11位、スマホサイトのランキングでは2位とやはり人気のほどが伺えます。
ラグジュアリーブランドと比較した時の成約件数
FENDIとサンローランはいずれもラグジュアリーブランドで、人気上位の売れ筋商品は、バッグで10万円~20万円、財布で5万~10万円といった具合でしょうか。
だいぶざっくりとした数字ですが、ASOSの平均単価を1万円としても(高く見積もってますが)少なくとも5倍、高い商品に対しては10倍以上の値段の開きがあります。
BUYMAのブランドランキングのアルゴリズムが不明なので、単純に売上で判断はできませんが、仮に売上高だとするとFENDIやサンローランに比べて、ASOSは10倍以上の取引件数があることが考えられます。
ASOSは参入しやすく、簡単に販売ができる
プチプラということで価格帯としても非常に扱いやすく、相当の数が売れているので、活動を始めた初心者でも参入しやすいというメリットがあります。
しかも、ASOSはブランドの公式サイトからの仕入れとなる為、買い付けも非常に簡単です。
(しかも今はポンドが急激に下がっているので、それで利益が増えた人も多いかと思います)
と、ここまでの話だと、ASOSを取り扱った方がいいように思います。
しかし、月収20万円、30万円を目指しているのであれば、ASOSを取り扱うことは絶対にやめた方がいいです。
BUYMAでたくさん売れて、取り扱うこともできるのに、なぜ止めた方がいいのか、解説していきたいと思います。
ASOSを扱うと、具体的にどういった活動になるのか?
ASOSを扱うと実際にどういう感じになるのか、シミュレーションしながら話を進めたいと思います。
1、まずはひたすら新規出品
少なくとも数百件、多い人だと数千件という数を出品しています。
以前、問い合わせをもらった方が、ASOSを推奨するコミュニティにいたそうなんですが、1ヶ月に300件の新規出品が目標の最低ラインとして設定されていたみたいです。
また、新規出品だけしていればいいわけではありません。
2、ひたすら価格調整
最安値付近の価格でないと基本的に売れないので、毎日ではなくてもかなりの頻度で価格調整をします。
特に人気が高い商品であれば、ライバルも狙っているので、1日に何回も価格調整をすることもあります。
当然ですが、出品数が多ければその分手間もかかります。
3、問い合わせ対応
お客さんからの問い合わせが、とにかくひっきりなしにきます。
反応があることは嬉しいことですが、ありすぎて正直鬱陶しいぐらいです。
在庫確認はもちろんのこと、ワンピースであればサイズ感、質感の問い合わせが多くなりますが、買い付け経験がなければ分かりません。(これはASOSに限った話ではありませんが)
また、人気の商品はすぐにサイズがなくなったりするので、問い合わせが来たら在庫を確認して、商品ページにも反映をさせる必要があります。
4、仕入れ(ショップにオーダー)
買い付け先は一箇所なので、いろんなサイトを見比べるような手間はありません。
楽といえば、楽です。
5、追跡がないRoyal Mailでの発送
速達便にすると20ポンドかかってしまうので、通常の便にして送料を抑えますが、追跡がないので状況を把握することができませんし、しばしば遅れます。(たまに届きません)
そして、お客さんからは「いつ届きますか?」と問い合わせがきます。
追跡がないので「もうすぐ到着予定となっておりますので、今しばらく…」みたいな回答しかできません。
個人的には、これがかなりストレスでした。
6、検品
プチプラとあって、結構不備があるので、検品は欠かせません。
過去にあったのは、靴を注文したら、左足が2つ入っていたということがありました。
それ以外にも、商品に不備があることはザラです。
評価を気にしなければほぼノーチェックでもいいですが、お客さんに迷惑をかけますし、トラブった時のリカバリーの方が時間がかかるので、ちゃんと検品はした方がいいです。
7、梱包、発送と到着通知待ち
これは、ASOSだから特別何かがあるわけではありません。
強いて上げるなら、商品の不備が多いので、到着通知をもらうまでスッキリしません。
あとは、進行中の取引件数が多いと、誰にどこまで連絡して、どこまでオーダーが済んでたっけ?みたいな管理にかかるコストは、飛躍的に増えます。
その結果、忙しさは指数関数的に上昇していきます。
不良品も珍しくない頻度で紛れ込むので、クレームにも発展しますが、そうなると対応に莫大なコストがかかります。(特に、心労が…)
ASOSを販売しようと思うと、具合的にはこのような活動内容になることが多いです。
では、一体問題はどこにあるのか?
ASOSだとコスパが悪くなる本質的な問題
参入障壁が低く、初心者でも誰でも簡単に売ることができる
BUYMA始めたての初心者でも、新規に参入できてしまうので常にライバルが多く、新しく入って来たショッパーに対しても差を生み出すことができません。
また、「初心者はASOSから始めましょう」「ASOSは結果が出やすいです」という指導者や記事も多く、次から次へとASOSを取り扱い始めます。
参入障壁が無いに等しく、それぞれが「売りたい」ので、日々価格は下がっていくことになり、薄利多売からは逃れることができません。
これも以前スカイプ相談をした時に聞いた話なのですが、「100円でも利益が出るのであれば、出品しましょう」という指導を受けていたそうです。
つまり、その指導を受けているショッパーと同じ商品だと、新規参入者に一件100円の利益になるところまで、相場を下げられてしまう可能性があるということです。
「そんなに価格を下げるなよ」と言いたくなりますが、相手の行動はコントロールできません。
むしろ、同じように思われている可能性すらありますね…。
とにかくASOSの根源的な問題は、売る商品も買い付け先も同じなので、ライバルとの差別化ができないということです。
差別化ができない以上、ただ利益を削るだけの値下げ合戦に応じるしかなくなってしまいます。
薄利多売で月利を増やそうと思ったら作業量を増やすしかない
仮に1件1000円の利益が出るとしても、1ヶ月の利益を20万円にしようともったら、200件の取引をする必要があります。
で、その結果待ち受けているのは、圧倒的な作業量の増加です。
ASOSを扱う限り時給が上がらないので、稼ぐ為には働く時間を増やすしかないバイト、というような感じに似ている気がします。
しかも、価格調整は出品件数が増えれば増えるほど、精度が落ちていきやすいので、出品数の増加に伴って時給は落ちていくように感じます。
作業量だけは増えて稼げる利益の伸びは鈍化してくるという極めて非効率な活動に身を投じることになります。
今はどれくらいの出品で何件ぐらい売れるのかわかりませんが、私が経験した実際の数字は400件から500件出品して、毎日のように価格調整もして、80件ぐらいの受注だったように思います。
梱包と発送を除いて1日4~5時間ぐらい活動して、利益は1ヶ月で10万円ぐらいでした。
月利20万円を目指していましたが、数ヶ月やって「無理だな」って思いました。
当時は会社員で、残業をして家に帰った後に、このような作業をひたすら繰り返していたので、体力的にも正直しんどかったです。
利益が増える見込みもなくて、不毛感がハンパない
何しろつまらなかったです。
これ以上、利益が増える気配もないですし、先も見えませんでした。
現状コスパが悪く、コスパが上がる見込みもない、そして作業自体もつまらないし、やっていて不毛感がハンパなかったです。
さらに寝不足になっていたので、常に体調は悪く、ぼーっとしながらひたすら出品と価格調整を繰り返してました。
繰り返しますが、ほんとつまらなかったです。
外注さんをうまく使って・・・という話もありますが、結局教育するコスト(時間や労力)が必ずかかるので、本質的には解決はしません。
外注スタッフに辞められてしまったら、途端に止まってしまうと思ったので、外注化は進めませんでした。
ASOSを取り巻く今の状況はさらに悪い
私がASOSを販売していたのは、2014年の上半期ぐらいでしたが、聞こえてくる話しによると、その頃よりさらに競争は激しくなっていて、より稼ぎにくいみたいです。
スカイプで話したと言いましたが、その時に「平均利益単価は、1,000円〜2,000円ぐらいですか?」というような質問をしたら、「1,000円出たらかなり嬉しい」と言われてました。
それくらい利益を削るのが普通になってしまっているということなんでしょうね。
新規のショッパーは「評価を稼がないと勝負できない」という謎の思い込みもあり、利益がなくても評価が増やせるから、プラスマイナスゼロでも取引を進めるということもあるそうです。
そのようなショッパーとも、基本的には差を生み出すことはできないので、競争が激化していくのは、自然な流れですね。
このように、かなり厳しいASOS事情ですが、私見としてはもっと怖い落とし穴があるように感じています。
ASOSは危険ドラック。分かっていてもやめられなくなる。
ここまでの話の通り、ASOSは時間とストレスはかかる割に大きな利益になりません。
じゃあASOSを扱わなければいいって話なんですが、実はASOSを扱っているバイヤー本人は薄々気づいていると思います。(事実、そのような相談をよく受けます)
これが、怖い現象なんですが、ASOSは、
「分かっていても抜け出せない」
ということが起こります。
ASOSの中毒性
最近、世間を賑わしている覚醒剤や麻薬のような話ですが、まさにそのような側面があると思います。
先日もバイマで活動されているバイヤーの方と話をする機会がありましたが、「ASOSから抜けられないんですよねー」って仰っていました。
この気持ち痛いほどよく分かります。
これを続けた先に活路がないことは分かっているんですけど、抜けられないんです。
その理由をお話ししていきたいと思います。
分かっていてもやめられない理由
やっぱり人間ですので、活動していて受注が来るのは嬉しいものです。
それは、利益が大きくなった今でも感じますし、受注がない日が続けば多少なりとも不安はつきまといます。
で、話をASOSに戻しますが、ASOSを出品していると価格調整さえ怠らなければ受注は確実に取れます。
出品件数にもよりますが、毎日のように受注、お問い合わせがきます。
しかし、受注を得ようとすると、出品と価格調整でとにかく時間がなくなってしまうのは、すでに話した通りです。
ASOSをやめるとどうなるのか?
そして、この状況から抜け出すためには「全く扱わない」というのが、もっとも効果的な対策です。
しかし、今までASOSを扱っていて、全く扱わなくなると毎日のようにくる受注や問い合わせなどの反応がパタっとなくなります。
一度、受注がコンスタントにくる経験をしているとめちゃくちゃ不安になってしまいます。
しかも、ASOSの出品を止めて他の商品をリサーチしても、なかなか人気商品で価格で勝てるものが見つかりませんし、問い合わせや受注が来るまでにはそれなりに時間がかかります。
その受注がない期間が長くなればなるほど、「このリサーチであっているんだろうか?」とか、「ASOSを出品すると受注あるし」という気持ちが強くなってきます。
で、しびれを切らしてASOSの出品を再開して「注文確定のお知らせ」という件名のメールが来ると、脳内で興奮物質が出ます。
一度、不安に陥ってからの安心感は、より一層強く感じます。
これが分かっていても抜け出せないメカニズムです。
まさに麻薬とか、DVを受けてもやさしくされると抜け出せなくなる人のような怖い話です。
まあ、冗談ですが、それくらい常習性はあります。
脱・ASOSをするにはどうしたらいいのか?
まだASOSを扱ったことがなければ、そのまま扱わずに違うブランドでリサーチを進めるのがいいでしょう。
すでにASOSを扱ってしまっている場合は、勇気を持って出品を全て取り消してしまうぐらいのことをしてもいいかもしれません。
「今から新規出品はしない」というのも手ですが、すでに出品している商品にお問い合わせがあったりして、かなり後ろ髪を引かれると思います。
痛みを伴いますが、少しだけ長い目で見ると手放さないことほうが、大きな傷になりえます。
ASOSで利益を出している人も中にはいるのかもしれませんが、私は経験からこのように思いました。
で、現在の私はというと、
そこから抜け出して、ASOSを扱っていた頃の半分以下の活動時間で、10倍以上の月収を上げることができています。
途中感情論を交えてしまいましたが、これがASOSをお勧めしない理由です。
悪いことは言わないので、ASOSはヤメておきましょう。
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