「リサーチしてライバルに価格で勝てない」ってことは頻繁にあると思います。
残念ではありますが。
ただ、ライバルに勝てなかったとしても、この時に勝てなかったと終えるのではなく、必ずやってほしいことがあります。
それは、現地定価を調べることです。
目次
なぜライバルに勝てなかったら、現地定価を調べるのか?
この「現地定価」というのは、「現地向けの」定価です。
ヨーロッパのブランドならヨーロッパの、アメリカのブランドならアメリカの定価ということです。
現地の定価を調べたところで、ライバルに価格で勝てなかった事実は覆りませんので、はっきりいって手間です。
でも、この一手間がめちゃくちゃ重要です。
なぜ重要かというと、「ライバルとの差を知る基準」になるからです。
これだとかなりぼんやりしていると思うので、解説を加えていきます。
ブランドの現地定価の仕組み
まず前提を話しますが、ブランド品というのは定価があって、同じ通貨圏内であれば、この定価は基本的に標準小売価格とイコールになります。
ブランド直営店であっても、デパートであっても、セレクトショップであっても基本的には定価で販売されています。
日本の家電とかだと、メーカーの設定している定価なんてあってないようなもので、小売店が他店に勝つために自由に価格を決めています。(多少は制限があるかもしれませんが)
セレクトショップもブランドから卸してもらっていて、その商品をいくらで販売しようが自由のはずなんですが、実際はそうはいきません。
ブランドが設定する定価で販売する必要があります。
というのも、ブランド側からしたら、セレクトショップに安く販売されると直営店から売れなくなるので困るわけです。
なので、ブランドは、
「卸してあげるけど、定価の○○ユーロで販売しなさい」
というルールを設けています。
つまりどこから買っても、基本的には定価と同額ということになります。(もしくは定価より高値)
商品が定価から割引になるケース
しかし、実情はというと、セール時期に入りセール価格になっていたり、シーズン落ちになってセール価格になったり、あるいはショップ内の割引があったりします。
例えば、初回は10%引きで購入できるショップがあったりしますが、そのような割引を使うと定価よりも安く買うことができます。
そのような割引を初回だけではなく、常時受けられるケースもあります。
VIP価格、VIP割引、優待割引と呼ばれたりするものです。
つまり、定価で購入するのが基本なんですが、中には割引を受けて購入できるケースもあるということです。
一旦ここまでをまとめると、
・シーズン落ちになるとセール価格になることも
・ショップによっては割引を受けられたりする
ということになります。
現地定価とライバルの販売価格を比較する
で、ライバルはどの条件で購入しているかは分かりません。
分かりませんが、定価から推測することはできます。
具体的に計算をしてみましょう
例えば、現地定価が1,000ユーロの商品があったとします。(ヨーロッパのブランドとします)
この商品がセールにもなっていなくて、割引も受けられないのだとしたら仕入れ値の底値は理論上いくらになるでしょうか?
「理論上の底値」というのは、商品代金以外は払わなくてよかった場合と思って頂ければ問題ありません。
具体的には、VAT(付加価値税)と送料です。
VATを引いてくれて、かつ送料が無料になるショップから買えた場合にいくらになるのか考えます。
ヨーロッパでも国によってVATが異なりますが、イタリアで考えるとVATが22%なので、
1,000ユーロ ÷ 1.22 = 819.7ユーロ
が商品本体の代金です。
日本に送るのであればVATは払う必要がないので、商品代金は約820ユーロになります。
あとは、輸入関税と消費税を個人利用目的で輸入した金額をプラスします。
としたときに、関税と消費税を合わせて、商品代金の約10%になります。
つまり、
現地の定価が1,000ユーロで、VATを引いてくれて、送料が無料で、個人利用で輸入したとすると、
買い付け費用は、約902ユーロになる
ということです。
1ユーロ=120円で計算すると、110,400円となります。
割引を受けない場合の「理論上の最安値」と比べて安い
で、この商品をライバルが120,000円以下で売っているとしたら、理論上の底値で仕入れたとしても赤字なので、定価以下で仕入れていると推測できます。
具体的には、
・ショップから割引を受けている
・ブランドから卸価格で仕入れている
あるいは、
・在庫を持っていて赤字でも捌きたい
などが考えられます。
この場合、同じ(ような)条件に並ばなければ、価格で勝つことは難しいので、一旦この商品は避けた方が賢明です。(ゆくゆくは同条件に並ぶことも視野に入れた方がいいですが)
割引を受けない場合の「理論上の最安値」であれば、出品できなくない
逆に、120,000円以上で販売していたら、とりあえず定価で仕入れられるショップさえ見つけることができれば、販売した時に黒字にはなってきます。(一旦送料は無視してます)
ライバルが割引を受けてることを完全に否定はできませんが、現状としては定価で買い付けても勝負できることになります。
なので、理論上の最安値で買い付けた場合に、利益が出るようであれば、
ライバルが知っている仕入れ先に辿り着けていないか、単純に自分の仕入れ価格の計算が間違っているだけという可能性が考えられたりします。
VAT(付加価値税)は必ず引かれるとは限らない
先ほど、「ショップがVATを引いてくれて・・・」という表現をしました。
本来、VATは日本在住であれば支払う必要はないのでおかしな表現なのですが、ショップによってはVATを引いてくれない場合もあるので、このように表現しています。
払う義務はないですけど、売値はショップが決めているということですね。
現地定価(現地向けの定価)の調べ方
セオリーは、ブランドの公式サイトやshopstyle、polyvore、Lystで見つかったショップ、あるいは商品の取り扱いが豊富なFarfetch(ファーフェッチ)で商品を探します。
そして、発送地(国)をその国に変更します。
例えば、ヨーロッパのブランドであれば、イタリアにするといった具合です。
イギリスだと言語が英語なので分かりやすいですが、通貨がポンドになってしまうので、ユーロの定価を知りたい場合は、イタリアやフランスなどに変更する必要があります。
言語は分かりづらくなりますが、Googleクロームを使えば翻訳もできますし、定価を調べるぐらいは問題ないと思います。
あと、基本はVAT込みの価格になっているので、それだけ注意して下さい。(現地定価から1.22で割ると商品代金が分かるのは、先ほど説明した通りです)
「現地定価からライバルとの差を測る」のまとめ
このように、ライバルの価格と現地定価の差分を算出することで、「何が足りなくてライバルに勝てないのか」といったライバルとの差が見えてきます。
この差が把握できると、(実際にできるかはさておき)具体的にどういう状況を作れば、ライバルに勝てるのかということが分かってきます。
分かってしまえば、埋めるためにどうするかを考えます。
あるいは、すぐに埋めるのが難しければ、そのライバルのと戦いは避けるのも一つの手段です。
なんなら、リサーチ前に比較をすることで、不毛な戦いで無駄な時間を消耗するのを未然に防ぐことができます。
これが現地定価を調べる理由です。
現地定価はライバルと自分の差を計る基準になりますので、限られた時間の中で上手く立ち回る為にも、必ず現地の定価は気にするようにして下さい。
リサーチをした結果、「ライバルに勝てない」と片付けてしまうのではなく、
なぜライバルに勝てていないのか?
ライバルとの差はどこにあるのか?
ということも検証する習慣をつけましょう。
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